第2回

光の量を調整する「絞り」

絞りとは

「絞り」は、光の量を調整する機構です。レンズに搭載される「絞り羽根」という部品が、光の通り道を大きくしたり小さくしたりして光の量を調整しています。絞りは、写真の明るさだけでなく、「ボケ」にも影響するため、その特性を理解できれば写真の表現力を向上できます。聞いたことのない用語がたくさん出てくるかもしれませんが、一気に全てのキーワードを理解しようとせず、何度か読み返し理解を深めていくとよいでしょう。

開放絞りで撮影した勝尾寺のダルマ(F2.8)

開放絞りで撮影した勝尾寺のダルマ(F2.8)

絞り込んで撮影した横浜みなとみらいの夜景(F11)

絞り込んで撮影した横浜の夜景(F11)

レンズの明るさを表す「F値」

F値は、レンズの「焦点距離」を「有効口径」で割った値です。焦点距離は、ピントを合わせたときのレンズから撮像素子までの距離のことで、有効口径は、レンズの光の通り道の直径のことです。普段、F値を求めることはないため、この式を覚える必要はありません。代わりに、写真の仕上がりに影響する後述の「絞りの特性」をしっかりと頭に入れておきましょう。
※焦点距離については、基礎編の「レンズ」のレッスンで説明します。
EF40mm F2.8 STMの有効口径を求める計算式

EF40mm F2.8 STMの有効口径

絞りの特性

F値は、1を基準に「F1.4、F2、F2.8、F4、F5.6、F8、F11、F16、F22」のような数値で表されます。F値が小さいほど光の量は多くなり、逆にF値が大きいほど光の量は少なくなります

絞りの変わり方

絞りの変わり方

例えば、F2からF1.4へ絞りを開くと光の量は2倍なり、F5.6からF8へ絞り込むと光の量は2分の1になります。このように、光の量を倍にすることを「1段開ける」、逆に半分にすることを「1段絞る」と言います。最近のカメラは、「1段」だけではなく、「1/2段」や「1/3段」ずつ絞りを調整できることが多いため、F1.8やF6.3といった数値も目にすることが多いでしょう。ちなみに、F1の次に、F2ではなくF1.4となる理由は、光の量は絞りの面積(√2=1.41…)に比例するためです。

絞りとボケの関係

一眼レフカメラを購入したら、誰もが「背景のボケたプロっぽい写真を撮りたい」と思うのではないでしょうか。絞りは「ボケ」に影響をもたらす要素の1つです。F値によってピントが合って見える範囲が変わり、F値が小さければピントの合う範囲が狭くなり、F値が大きければピントの合う範囲は広くなります。ピントを合わせた位置の前後で、ピントが合っている範囲を「被写界深度」と言います。

被写界深度を表した写真(F2.8)

被写界深度を表した写真(F2.8)

上記写真は、テーブルの上に置かれたメジャーを、15cmのところにピントを合わせてF2.8で撮影した写真です。15cmの箇所を基準に、手前1cm(14cm)と奥2cm(17cm)の範囲にピントが合っていることがおわかりいただけるでしょうか。下記写真は、同様にF5.6、F11、F22で撮影した写真です。

被写界深度を表した写真(F5.6)

被写界深度を表した写真(F5.6)

被写界深度を表した写真(F11)

被写界深度を表した写真(F11)

被写界深度を表した写真(F22)

被写界深度を表した写真(F22)

絞り込むにつれ、ピントの合っている範囲が広く(被写界深度が深く)なっていることがわかります。被写界深度は、ピントを合わせた位置を基準に、1:2の割合で手前の方が浅く、奥に深くなるという性質があります。ボケをうまくコントロールして、思い通りの写真を撮ってみましょう。

Kazuya Tamakoshi
パーフェクトカメラのディレクション、コンテンツ制作を担当。 大手SIerにて医療系システム開発に従事した後、株式会社フランリベルを設立。エンジニアとしてプログラムを書く傍ら、趣味が高じて撮影の仕事をはじめる。